第20回:マウス操作時の「画面端操作」を不要にした Windows 8.1 Update (KB2919355) の改良点

対象プロダクト:Windows 8.1

Windows 8.1 のデスクトップの操作、つまりマウスでの操作を大きく改善した更新プログラムであるKB2919355が2014年4月16日にリリースされました。
この更新は Winows Update で自動更新される他、以下のページからダウンロードする事も可能です。
このアップデートで提供される機能追加は、主に以下のようなものです。

Windowsストアアプリへの閉じるボタン、最小化ボタンの追加

Windowsストアアプリもデスクトップアプリのように、画面右上に最小化、閉じるのボタンが表示されるようになり、視覚的に操作できるようになる事で、使用感がデスクトップアプリの感覚に近づきました。
普段デスクトップをメインで使っている方には、両アプリの最小化、終了、タスクバーからの呼び出しの操作が統一化され便利な機能追加と言えます。

Windowsストアアプリアイコンのタスクバーへの追加、および最小化時の表示

上記の機能追加に関連しますが、Windowsストアアプリをタスクバーに登録しておくことができ、スタート画面を起動しなくても、デスクトップ画面から起動できるようになりました。
つまり、Windowsストアアプリについても呼び出し方が多様化し、スタート画面からもデスクトップのタスクバーからも起動できるようになりました。

また、最小化したWindowsストアアプリは従来通り、画面の左上にマウスポインタを持って行き一覧を表示する他に、タスクバーにも表示されるため、こちらも視覚的に分かり易くなりました。
実際、マウスポインタを画面左上に持っていく方法では、マウスを正確に操作しないと一覧が表示されなかったり、一覧が表示されてもすぐに消えたりすることがあり、何度かやり直す事もありました。

また、画面の端というのは、リモートデスクトップや仮想環境でのフルスクリーン表示時には、それらのアプリのメニューを呼び出すため、メニューが被り操作し辛くなります。
従って、タブレットデバイスなら問題ないですが、リモートデスクトップ、仮想環境で使う場合をまったく配慮していない設計と言えましたが、この画面端にマウスポインタ持っていくという操作が不要になっただけで、使用感は大きく改善します。
これはもちろん、Windows 8.1 でスタートボタンが戻った事も大きいといえますが、それに付随するマウス操作のユーザーのための機能改善と言えます。

スタート画面のアプリアイコンの上で右クリックによるコンテキストメニューの表示

スタート画面に表示されたアプリもコンテキストメニューを表示し、ピン止めを外したり、タスクバーへの表示、アンインストール、サイズ変更等の操作がすばやくできるように改善されました。
これまでは、右クリックした場合、画面下にメニューが表示され、そのメニューまでマウスポインタを持って行って実施する操作を選ぶ必要があり、同様の操作を多く実施する場合、余計な労力と時間がかかりましたが、デスクトップアイコンと同様にダイレクトに操作ができる事で、スタート画面のアイコンのカスタマイズもしやすくなりました。

スタート画面のログインユーザー名の右隣へのシャットダウン、検索ボタンの追加

Windows 8.1 ではスタートボタンを右クリックしてシャットダウンを行う事ができるようになりましたが、あくまでもデスクトップ画面からのコンテキストメニューへの実装であり、分かりにくい機能追加でした。
今回のアップデートにより、スタート画面を表示し、ユーザーアイコンの右側にシャットダウンボタンが表示されるようになることで、従来のスタートメニューからシャットダウンを実施するという、同様の流れで、チャームやコンテキストメニューを呼び出さなくても、シャットダウンが実施できるようになりました。
習慣というのは存在が結構大きく、Windows 95 以降続いてきた「スタートボタン→シャットダウン」という一連の流れは、感覚として残ってしまいますし、なかなか変えるのは難しいのでよい発想であると言えます。
こちらも画面右上にマウスポインタを持って行きチャームを表示するという「画面端操作」を無くする方法での改良です。

所感

今回の更新は一言で言えば、マウス操作時に「画面端操作を無くするための改良」といえます。

Windows という OS は個人だけではなく、大多数の企業でも使われています。
殆どの企業ではまだ Windows Vista や Windows 7 を使っている所が多いと思いますが、Windows 8.1 への移行という観点で、既存のマシンへのアップグレードという点では、タッチスクリーンに変更するという事は考えにくいです。
タッチスクリーンはタブレットだからこそ操作面でメリットがありますが、デスクトップ画面の場合いちいち画面に手を伸ばさなければならないのは非効率なだけではなく、腕も疲れますし、デスクトップを至近距離で見ることになり、視力低下や眼精疲労も引き起こす可能性があります。

また、仕事では、仮想環境(VMWare、vSphere、Hyper-V)やリモートデスクトップの組み合わせで使う場合も多いですが、上述したように画面の端にマウスポインタを持って行って、メニューやチャームを呼び出すという方法では、快適な迅速な操作を阻害してしまいます。
従って、このような操作を Windows に持ってきたという、元々の発想が誤りであったと言えますが、Microsoft はこの誤りをかなり改善してきたという印象です。
この改良は、間違いなく企業への Windows 8.1 への移行を促進するでしょう。
また、スタートメニューの復活も待ち遠しいところです。

公開日時:2014年04月27日 10:10:33

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