第5回:Windows のシェアを盤石のものとした Windows 98 のリリース

対象プロダクト:Windows 98

Windows 98 の概要

デスクトップ画面

1998年7月25日、Windows 98 がリリースされました。
Windows 98 については Windows 95 OSR 2.5 と Microsoft Plus! 環境に少し手を加えただけの、いわば完成版(熟成版)の Windows 95 という感は拭えません。
しかし、Windows NT 4.0 が成功を納め、Windows NT 系への統一を目指している Microsoft にとっては、消え行く運命の Windows 9X 系は、現状維持ができればそれで良かったのかもしれません。
とはいえより洗練された Windows 9X 系 OS として Windows 98 も一時代を築くことになります。

Windows 98 は Windows 95 と同様に PC/AT 互換機(DOS/V機)用と NEC PC-9800 シリーズ用の新規、アップグレード用の計4種類のパッケージとアカデミック版が販売されました。

それでは Windows 98 のシステム要件、Windows 95 パッケージ版から Windows 98 に追加された新機能、サポートされた新技術、ユーティリティ等について見ていきましょう。

システム要件

コンピュータ本体 486DX/66MHz以上(Pentium プロセッサ以上を推奨)を搭載したPC/AT互換機、または NEC PC-9800 シリーズ
メモリ 16MB 以上(32MB 以上を推奨)
ハードディスク 標準的なアップグレードインストールのためには、約 220MB のハードディスク空き容量が必要。システム構成や、インストール オプションによって、このハードディスク空き容量は、190MB から 240MB までの範囲で、異なる。
ディスク装置 CD-ROM または DVD-ROM ドライブ
ディスプレイ VGA (640×480) 以上の解像度を備えたディスプレイアダプタ
入力装置 Microsoft Mouse、もしくは互換ポインティングデバイス

パッケージの中身

Windows 98 のパッケージの表は、Windows 95 のイメージを踏襲しており、青い空と雲が描かれ、Windows のロゴが輝いている感じになっています。

パッケージ表

次に、箱の中身はインストール CD-ROM と、ファースト ステップ ガイド、数枚の印刷物が入っています。
箱の中身

こちらはファースト ステップ ガイドです。
この頃はマニュアルもそれなりの厚みがあり、簡単ではありますが、マニュアル的な雰囲気があります。
ファースト ステップ ガイド

パッケージの裏は、従来通り Windows の簡単な紹介が載っています。
パッケージ裏

Windows 98 の新機能

プロラグアンドプレイ(PnP)ドライバの広範囲のサポート

Windows 95 で導入されたプラグランドプレイ機能は、次第に対応ドライバも増えていき、Windows 98 がリリースされる頃には、対応が当たり前の機能になっていました。
機器を接続するだけで、ハードウェアIDに基づき、ハードウェアを自動検出し、最適なデバイスドライバを自動インストールもしくはユーザーに要求します。
なお、革新と思えるこの機能ですが、Macintosh では古くから実装されていました。
これは Microsoft 社のアピールが上手かったという事に尽きます。

FAT32 ファイルシステム

FAT32 ファイルシステムは Windows 95 OSR 2.0 よりサポートされていますが、パッケージ製品としては Windows 98 からのサポートとなります。
それまでの FAT16 の最大2GBに対して、FAT32 では最大2TBまでのパーティションの作成が可能になりました。
これは、FAT16 が2の16乗(=65536)個のクラスタ(クラスタサイズ512~64KB)までしか管理できなかったのに対し、FAT32では2の32乗(=約42億)個のクラスタ(クラスタサイズ512~32KB)まで管理できるようになったためです。
また、FAT32 は FAT16 に比べて相対的に小さなクラスタサイズで管理できることで、ディスクを効率よく(無駄になるサイズが少ない)使用できるようになりました。
※そのためシステムツールの「ドライブ コンバータ (FAT32)」で FAT16 を FAT32 に変換すると、空き容量が増えます。

Win32 Driver Model (WDM) ドライバ

Win32ドライバモデル (WDM) は、Windows 98 および Windows NT と両方の将来のバージョンによって理解される I/O サービスの共通のセットを提供する、デバイスドライバアーキテクチャを定義したものです。
WDM では、開発者は、両方の系統のオペレーティングシステムのためのシングルバスドライバもしくはデバイスドライバを記述することができます。
WDM はドライバクラスのレイヤーの概念に基づきます。
レイヤーはそれぞれ、デバイスドライバに要求されるサービスの部分を分離し、ハードウェアベンダーが単一のファイルにハードウェアに特有の機能性をすべて含むことを可能にします。
WDM 以前は、デバイスドライバは、ハードウェアの特定の部分と対話するのに必要な要素に加えて、特別のオペレーティングシステム用のホックを含んでいなければなりませんでした。

新技術のサポート

  • USB
  • AGP (Accelerated Graphics Port) グラフィックスカード
  • MMX プロセッサ
  • DVD ドライブ
  • マルチディスプレイ(複数のグラフィックスカードを使用した複数モニターの使用)
  • Multilink Channel Aggregation (MCA) 技術

ユーティリティおよびウィザード

  • Windows Update
    最新パッチ、デバイスドライバ、拡張機能の自動更新機能を提供します。
  • タスクスケジューラ
    タスクウィザードを使用して任意のプログラムの実行をスケジューリングできます。
    この機能は Microsoft Plus! for Windows 95 に含まれていた機能です。
  • システムファイルチェッカー(SFC)
    .DLL や、.COM、.VXD、そのほかのファイルの検査と必要に応じたオリジナルファイルの復元機能を提供します。
  • ヘルプデスク
    ローカル、およびインターネット上のヘルプリソースを使用したトラブルシューティングのサポートを提供します。(オンラインヘルプ、バグレポートツール、Microsoft サポート技術情報等)
  • ディスクデフラグウィザード
    ディスクデフラグやスキャンディスク、不要なファイルの削除の実施をスケジューリングできます。
  • ユーザー補助機能の追加
    視覚障害者向けの拡大鏡やユーザー補助の設定ウィザードなどが追加されています。
この他、Internet Explorer 4.0 とのシェル統合や、デスクトップテーマ、ドライブスペース3等、Microsoft Plus! for Windows 95 で提供されたツール類が含まれています。

以上のように、いくつかの新機能の追加や機能強化が図られていますが、Windows 95 OSR 2.5 + Microsoft Plus! の環境から大きく変更された点はなく、同環境からのマイナーバージョンアップに近いバージョンと言えます。

Microsoft Plus! for Windows 98

別売りの Microsoft Plus! for Windows 98 では以下の機能、アプリケーションが追加されています。

  • McAfee VirusScan
  • ディスククリーンアップの拡張
  • 圧縮フォルダ (zip)
  • Picture It! Express
    Picture It! の簡易版
  • デスクトップテーマ
    新たなテーマ(壁紙、アイコン、スクリーンセーバー、サウンド、マウスポインタ)を追加
  • デラックスCDプレーヤー
  • Microsoft Golf '98
    ホール数限定版

公開日時:2012年02月11日 21:45:16

なお、Windows Server VPS選びで迷ったらこちらの記事で主要VPSのメモリ容量ごとの月額、年額料金、リモートデスクトップ(RDS SAL)、Microsoft Office SAL料金を比較していますので、是非参考にしてみてください。

Windowsの歴史の記事一覧に戻る

「Windows 98」に関する他の歴史記事

このページのトップに戻る